TOPへ戻る 目次へ戻る ゼノギレラ(1)

ゼノギレラ(2)



「なに! 姫が魔物に襲われたかもしれないって?」
命からがら戻ってきた使者が、シグルドとメイソンにその次第を報告した。

「はい。馬車が消えたと思ったら、その場所で魔物が暴れていまして……。おそらくは、 その魔物にさらわれたのではないかと。」
「その魔物は何処へ行ったのだ。」
「どうやら、先にある建物に向かっていったので、そこに姫と共に潜んでいると 思われます。」
「ならば、至急、兵を出撃させねばならん。姫の救出が先決だ。」
「しかしシグルド殿、若の許可がないと兵は……。」
いきり立つシグルドをメイソンがいさめようとする。

「……その必要はねぇよ。俺が今、許可する。」

「若!?」

ウソみたいにひっじょーにタイミング良く、バン!と勢いよく扉を開けて バルト王子様ご登場!!
ぱーぱぱぱ、ぱーぱーぱぁらら〜〜〜!(FF風ファンファーレ付、 ほらぁパロ元同じ□だし)

「話は全部聞いたぜ。魔物退治、面白そうじゃねーか。俺も行くからな。」
「…わ……(ん、もごっ)。」シグルドが、慌ててメイソンの口を手でふさぐ。
「俺を、止めるなよ。」カッコを付けて、振り向き&流し目バルト。

「(メイソン卿、これは良いチャンスかもしれません。若もその気ですし、命を救ってくれたと なれば、姫も当然なびくことでしょう。)」メイソンにそっと耳打ちをするシグルド。
「(しかし…シグルド殿。)」
どっから出てきたのか、シグルドの手には“眠れる森の美女”の本が(汗)。 お〜い! 誰かツッコんでやってくれ〜!

「(いつの時代も、姫君は窮地を救う白馬の王子様を待っているものと相場が 決まっています。若を行かせましょう。大丈夫です。私もついて行きますし。)」
「(なるほど。愛と勇気ですか。)」
「(そう、愛と勇気ですよ。)くすっ。」

そこそこっ!
二人で肩を震わせて、くすくす笑わないの!
“愛と勇気”ってその台詞、ゼノ○ー○のハカセコンビのEP3の台詞 そのまんまでしょーがっ!!



「じゃ、行ってくるぜ!」
ということで、一個中隊を引き連れ、若様ご一行、出立(しゅったつ)〜っ!



………あなた、来たわよ………
………なかなか物々しい行列ぶりですねぇ……


「ここか? 魔物が潜んでいる建物は。」
「は。その通りです。」

コンコン
「どなた?」

え?
扉が開き、そこにはごくごくフツーにフェイの姿が。

「?? お前、魔物につかまってたんじゃないのか? それにその姿。」
「魔物……? えっ? あっ? もしかして、王子様ぁっ!?」
「お、おい……。」
今の自分の姿が急に恥ずかしくなり、フェイは脱兎のごとく逃げてしまった


「フェイ〜、今の誰だったのー?」
でっかい声で扉を開けるエリィ。

そこに立ってるバルトを見て一言。「ああーーっ!! 王子様!!」
「ええっ!? 王子様ぁ!?」
バタバタと転がるように出てきたミァンとエメラダ。
いや、実際、二人は階段を転がって落ちてきたんですけど……。


「イタタタタ……。」ぶつけた腰をさするミァンとエメラダ。
「(こ、腰痛ぁ〜)。あの、王子様。ここにどのようなご用事で……。」
「私! 私のことがもしかして…。」
言葉を続けさせる間もなくバルトが言った。

「ここに魔物が出現したと知らせが入ったので、退治に来た!」
(なあんだ、そんなことか)
ガックリ肩を落とす三人。

……じゃなくって、

「そうです。王様! ここには数年前から化け物が暴れて、娘達が怯えて毎晩 困っているんです。助けてください、王様。助けてくださったら娘を差し上……。」と 母ミァン。
「そうか。それは難儀であったな。もうよい、そなた達は下がっておれ。 我が退治してくれる。(……そのわりには建物に被害がなく、綺麗に 維持されている気もするが)」
ミァンの言葉にかぶせるようにバルトは言った。よーするに、聞いていないのである。



ザザザッ!
バルトの合図で、兵達が戦闘シフトに展開した。
空に向かって叫ぶバルト。
「魔物よ、出て来い! 我はこの国の王子バルト。いさぎよく我に退治されよっ!」


……なるほど、そう来ましたか……
……どうする、あなた……
……では、シナリオ63で行きましょう。出ますよ、ユイ、ミドリ……

(シナリオ63って何? そんなに打ち合わせしてたの?)


どろろろ〜〜〜ん!
「きゃあーーーっ!!! 誰か助けてーーー!」
“お約束”の効果音とフェイの悲鳴をくっつけて魔物登場!!

「出たな魔物め!」

フェイを抱えた緑の魔物(笑)はどんどん逃げる。
「逃げ足の速いやつめ。」それを追いかけるバルト一行。


……ここでいいですかね……

魔物は立ち止まり、くるっと振り向くと、またまたどろんっ!
もくもくもく
どハデな煙を立ち上げて、翼をつけたグリーン・ドラゴンに変身! (いちおー魔物なんで。龍神じゃないよっ)

「な、なにっ!」

……では、派手に行きますか……
ゴオオオーーーッ!
うわー!
ドラゴンの吐き出す炎に逃げ惑うお城の兵士達。

「畜生、魔物め。」
あたり一面、手当たり次第に炎を吐いているのにけが人が出ないのが不思議なのだが、 みんなピンチなので全くそのことに気づかない。
兵士達は雨あられと矢を打ち出すが、何故かドラゴンの手前でみんな落ちてしまう。

……あなた、早いとこテキトーにやっつけられてよ……
その影で、ユイとミドリがせっせと弓矢を打ち落としているなんざぁ、誰も知らない。
……ユイ。それなりに、ドラゴンらしくカッコをつけないとね……

炎に翻弄されているうちに、バルトと兵士達が炎の壁に引き離されてしまった!
「ちっくしょう! 魔物め!」
イチかバチか、鞭を握り締めてドラゴンに突っ込むバルト。」

……それ、まきつくと痛いんですよね……
ゴオッ!
ドラゴンの炎で、バルトの鞭が燃えてしまった。

シュッ!
バルトは剣を抜き、炎をかいくぐりながら、ジャンプしてドラゴンに斬りかかった。
カツン!
ツメで軽々と受けるドラゴン。手を振り払い、バルトを吹っ飛ばす。

「若っ!」
ドサっ!
バルトの身体が地面に打ち付けられた。
「打て打て! 若を援護するんだ!」号令をかけるシグルド。
再び、ドラゴンに向かって雨アラレの矢。
ゴオッとドラゴンの炎で全て燃え尽きる。

……あなた。やりすぎよ……
……いちおう、これでもドラゴンですからねぇ……

「誰か。助けてぇ〜。」ドラゴンの手の中で叫ぶフェイ。
……あ、気がつきましたか……
「今、助けるぞ。」
バルトが再び、ジャンプ一番。ドラゴンに斬りかかった。
カン!
キン!
ゴオッ!
吐き出される炎を避けて着地するバルト。

……では、らしく、とね……
あーーーん。
「きゃあ〜〜。」
わざとらしく“大口を開けて”フェイを食べようとするドラゴン。

「さーせーるーかぁーーーーっ!」
バルトの投げた剣が、見事ドラゴンの心臓を射抜いた(かもしれない)。
ギャッアッ!!
炎と煙を吐き、苦しみもがく(フリの)ドラゴン。

フェイを空高く放り出し、ドラゴンは自らの吐く炎で燃え尽きてしまった(らしい)。 たぶん、きっと……。

ジャンプ一番、放り出されたフェイを空中でキャッチしたバルト。
「……大丈夫か?」
「大丈夫です。ありがとう……ござ……いま……す……。」
「おい! 大丈夫か?」
ガックリ。フェイは気を失ってしまった。
「おい! どうなってんだよ。」

どろん!
わざとらしい煙をあたり一面に充満させて、どこからか、緑色の衣をまとった女性が 現れた。

「誰だ!」
「私は、ここに古くから住む妖精です。どうぞ安心してください。この人には、 ドラゴンの“のろい”がかけられてしまっています。のろいが解かれぬ限り、 永遠に眠り続けることでしょう。」と、妖精。

……いけしゃあしゃあと、よく言いますね……
……ほっといてよ……
……それよりも、あなたのあの演技、下手すぎよ……
……熱演、と言ってください(汗)……

「おい。どうすれば、こののろいとやらは解けるんだ。
「王子様の口付けがあれば、のろいは解け、再び目覚めることでしょう。」
フェイの顔を見る。妖精の言うとおり、眠っているだけようだ。
「おい。本当に目覚めるんだな。……っ、消えた。」
バルトが再び顔を上げると、妖精の姿はなかった。

「仕方がないな。」
………………(想像におまかせします)……………
「ん、うーん。あれ?」
「おい。気が付いたか?」
それっから、なし崩し的に、二人は結婚しましたとさ。

お・し・ま・い。







え?

フェイはともかく、バルトは幸せにならないんじゃないかって?
最初は驚いたみたいだけど、大丈夫。今ではこんな感じですよ。


「あいつにコレをお見舞いして、今夜こそ『参った』と言わせてやる(笑)。 バルトミサイルVer.10、準備できたか?」
「はい。出来ました。」
……毎晩武道会(笑)の日々を、それなりに楽しんでいるみたいです。

「シグルド殿、それにしても不思議だと思わぬか?」
「どれだけ破壊されても、翌朝には全て元に戻っていることですね。 まるで全てが夢みたいに。」
「不思議な出来事ぞ……。」
「そうですね。メイソン卿。」
実害がないので、のんきな二人である。


ああ、ぐっすり眠れる日々というものはいいものですねぇ。
そうね。あなた。
ミドリもそう思う。
おまえらなぁ〜。

どうしました? ジェシー先輩。急に登場して、もうこのお話は全て終わりましたよ。 それとも、何か問題でも?
問題も何も、全部こっちに押し付けやがって。
ああ。フェイのことですか。あれは私のせいではありませんよ。王子が気に入って 嫁にしたんですから。
おいっ。こっちの身にもなってみろっ! 毎晩毎晩、片づけでヘトヘトだ。 プリムなんて驚きすぎて、当初口がきけなくなっちまったんだぜ!  どうしてくれるよ!
ああ、そうですか。それは大変ですねぇ。
大変ですねじゃねぇ。たまには片付け手伝え。

大体ですねぇ。あなたの先輩のカレルレン大先輩が、面白半分にフェイみたいな人間を 作るからいけないんですよ。しかも、自分で面倒見切れないからって私に押し付けて。 先輩も大先輩に押し付ける方法を考えたらどうです? 知恵は貸しますよ。
うーん。お前に知恵を借りるとロクなことがねぇからな。

黒一家を除いて、みんな幸せになりましたとさ、めでたしめでたし。



めでたしじゃねぇ〜〜〜!!

あとがき:
私はメデタシなんです。ジェシー君。(^^)
やっと終わったぁ〜。構想7年と11ヶ月。長き日々がやっと終わりました(嘘)。 ンな大それた話じゃないけれど。でもゼノサーガより長くかかってるぞ(違)。

そもそも、ゼノギアスって王子様がいるんだよねー。王子様かぁー。おうじさま。 ん、そうだ!!
てな具合に思いついちゃったもので、こんな話が出来上がりました。
バルトってゲーム中はちゃんとしているシーンは実は多いんだけど、 でも何故かお調子者のイメージが強くって、きちんとしたとこも書かなきゃと、 (関さんの)声のイメージで王子様っぽい台詞を書いていたら、なんだか、 バルトというよりか「りゅうき」になっちゃいました。(*^^)v
まあ、バージルにならなかっただけマシでしょうか……。

そして、今回も出し忘れ去られた可愛そうなカール君。きっとページの隅っこで 膝を抱えてすねてます。(^_^;)
いちおー気づいてはいたけど、出すトコ無くって(笑)。 魔物が出たと腰をぬかす使者の予定もあったことはあったけど、 それじゃかわいそうかもとボツに。さらに、ねずみさんの御者も考えたけど、 う〜ん、それ、かえって面白かったかな?(ねずみさんの着ぐるみ) 失敗したかもです(爆)。

あ、そうだ。フェイの性別については特に決めていません。男性でもよし、女性でもよしで 書いてます。お好きに想像してください(痛)。
友達は「普段は女性で0時を過ぎたら男性でいいんじゃない?」と、のたまわっていましたが(笑)。

後半でドラゴンが出ちゃうのは、某D社製の白雪姫(多分)の絵本の影響です(爆)。 マジメにずっこけましたよ、あの展開。(^_^;)
「なにぃ〜?」と読み聞かせどころじゃなくなっちゃいましたから。

最後にキャスト
フェイ(シンデレラ)……フェイ&イド
父……カイン
母……カレン
二度目の母……ミァン
長女……エリィ
次女……エメラダ
王子様……バルト
妖精その1……シタン
妖精その2……ユイ
妖精その3……ミドリ
大臣その1……メイソン
大臣その2……シグルド
妖精その4……ジェサイア

元ネタ
「シンデレラ」