掲示板再編集(笑)
秋の夜長は、ついつい“ここだけの話だけど……”と、打ち明け話やら、
昔話をしたくなるのは、なぜだろう?
例外なく、ユグドラシルにいる彼らもそうだった。
「……でね。ここだけの話だけど……」
「きゃー(笑)。ほんと? それ。」
“就寝時間”も過ぎようとしているのに、盛り上がる女性陣。もはや近所迷惑である。
「もう、あの時は“ぬいぐるみ”のフリも大変だったでチュよ。マルーしゃんは、
力いっぱいチュチュのことを抱きしめて寝てるし。窒息するかと思ったでチュ。」
「ごめん。チュチュ。ぬいぐるみだと思ってたんだもん。」言われたマルーの顔は真っ赤。
……話題は、シャーカーンに取っ捕まっていた頃のことに移ったらしい……
「おなか空いてるのに、マルーしゃんの腕から抜けられなくって、とっても、ひもじかったでチュ。
おかげでものすごく、痩せちゃったでチュよ。」
「ユグドラのハッチにいた時に持ち上げたけど、チュチュの身体、かなり重かったぞ。
気味が悪いくらい暖かかったしな。」とフェイ。
「そんなこと、ないでチュよ!! それに気味が悪いって、どーゆー意味でチュかっ!」
チュチュの剣幕に、“どどっ”と笑いが沸き起こる。
コンコン!!
「はい。」ドアのノックに返事をする。
「シグルドです。もう夜も遅いですから、みなさん、お休みになったほうが良いかと思いますが……。」
ドア越しにシグルドの声が響いた。
「ああ、分かった。シグ。」
やはりこちらもドア越しに返事をすると、バルトは振り向き言った。
「みんな、お開きにしよーぜ。」
ちぇーとか、ワイワイと余韻を引きずりながら、各々、就寝のために解散。
…… よ く じ つ ……
チュチュが歯磨きのために、ユグドラシル内をウロチョロしていると……。
「おい、チュチュ!」
「なんでチュか? バルトしゃん」
「話がある……、俺の部屋に来てくれ」バルトの顔は何故か深刻。
(ええ? バルトしゃんの部屋に? いやいや……恋する乙女はまっすぐなんでチュよ。
……けど、バルトしゃんもイイ男でチュ〜。)
ちょっとブルブルと頭を振って、おかしな考えを頭から追い出すチュチュである。
(でも、チュチュにはフェイしゃんがいるでチュ。)
「後で行くでチュよ。」
バタン!!
「……どうしたでチュか? バルトしゃん」
とりあえず、恐る恐る言ってみる。
「おい、チュチュ!」
チュチュを見るなり、バルトが真顔でずかずかと寄ってきた。
(あああ、アップで迫ってきたでチュ。チュチュどうしよう…(汗))
動揺するチュチュ。
「チュチュ。聞いてんのか?」
バルトの声が、頭の上で響く。その足元で
(チュチュにはフェイしゃんがいるでチュよ……アワアワ)
チュチュは右に左に、「盆踊り状態」。そりゃいったい、何音頭?
(バルトしゃん、乙女にそんなに近づいたらいけないでチュよ)
「チュチュ。一つ聞きたい。」
バルトがしゃがみこんで、チュチュの顔を間近で見る。
(はい、何でもOKでチュよ……じゃないでチュ。アワアワ)
まだ、あわあわしているチュチュ。
「お前、ファティマ城にマルーと捕まっていたとき、お前、ずっと部屋でマルーと
一緒にいたんだよな?」
「…(なんだ、その話でチュか)…そうでチュよ。」
大きくため息をつき、ロコツにがっかりするチュチュ。
……何を期待してたんじゃ? フェイ一筋ではなかったのか?
「チュチュ〜」
(顔がアップすぎでチュよ。バルトしゃん。)
どっかの週間少年漫画雑誌よろしく、眉間にしわを寄せ、血管切れるんじゃないかと
思うくらい無意味にこめかみに青筋を立て、スッゴイ形相でチュチュを睨みあげるバルト。
指立てポーズがあったら完璧だわ……(呆)。
「お前、本当に女だよなぁ〜? あ〜〜?」
「そうでチュ。」
(なんだか分かんないけど、すごい迫力でチュ。バルトしゃん;汗)
「捕まっている間は、マルーに抱っこされたり、
マルーと一緒にベッドで寝てたりしたんだよなぁ〜? あ〜〜?」
「そ、そ、そうでチュ。」(チュチュ、怖いでチュ)
めったに見せないバルトの様子に、すっかり怯えてしまっているチュチュである。
「もう一度聞く。お前、本当に女だよなぁ〜?」
(上から下まで、バルトしゃん、視線が本当に怖いでチュ;滝汗)
「……そうでチュ。」
チュチュの感じたとおり、チュチュの目の前に斜め向きに座り込み、
足元から頭の“ちょんまげ結び”の天辺まで、何度も何度も性別を確認するように、
睨みつけるバルト。
「もしも、“実は男でした”なんてぇのは、ぜってぇー許さねぇぞ!!!
そん時はボッコボコのギッタギタに……」
(ゾゾゾ……)
ピンクの生き物が、すっかり水色の身体に変色してしまった、ほんの些細な出来事の巻でした。
バルトくん、怖いっス。(^_^;)
……で、話がここで終わらないところが、この話の妙なところ。(^^ゞ
扉の向こう側で、この会話に聞き耳をたてていた人物がいたのである。
(うーむ。地上の資料として集めていた大教母に関する映像は、
全て廃棄しておいた方が良さそうですね。
アレをバルト君に見つかったら、やっかいなことになりそうです。)
腕を組み、アゴに手をあて、“お決まりのポーズ”の先生。口に歯磨き粉が付いているけれど。
実は、ソラリスにおいて、ある裏ソフトが出回っており、
マニアの間では大人気なのである。
……その一部を紹介すると……
『とらわれた姫! 王子はいずこ!』
『密着! ニサン大教母24時』
『ある美少女のひみつ』
『美少女の心に巣食う闇』
『少女はシフォンニサーナがお好き』
『獄死した先代大教母の呪い! カメラに映る謎の影』
……要は、ファティマ城の監視カメラの映像をテキトーに編集しただけなのだが、
少女の24時間をこっそり覗き見している感覚が大ウケで、
一部のマニアの間でバカ売れしているのである。さすがに、入浴模様だけは
検閲(本当にあるのかよ)で削除されたようだが……
つまり、ゲプラーの中に、映像の横流しをして大儲けをしているバカがいるのである。
もちろん、シャーカーンもラムサスもそのバカに気づいていない。
……末端からの情報の流出には、特に気をつけましょう……
ちなみに、「謎の影」の正体がチュチュであることは、この話の流れから言うまでもない――。
ただしゲプラーをはじめ、ソラリスの人達は、その正体を知らなかったために
“夜な夜な大教母の持つ「ぬいぐるみ」が動き出す”と、
日本とかいう国のワイドショーもビックリのタイトルが、
付けられたソフトも発売されている。
一応、シタンも“資料のため”という建前(笑)で、全巻そろえていたりする。
とーぜん、仕事のための資料なんだから、購入は経費(爆)。
つまり代金は全てソラリスに回されている。一体、何と言って領収書を切ったんだか。
もちろんユイもミドリも、この映像集の存在は知らない(笑)。
そのパッケージが“男性の隠しておきたい心”をくすぐる、“やたらと小難しそうな百科事典の形式”を
取っているため、元々知らないとソレと分からないのである。
ついでに、バルトの子供時代(滝汗)もあるにはあったんだが、内容が内容だったために
さすがに禁止処分を食らい、関係者一同摘発された……と言う事件が昔々にあったりする
(ソラリススポーツ…通称ソラスポ発表;大嘘)。
バルトが知ったら、ソラリスに単身特攻を本当にかけそうなお話――――。
あとがき:
数日前、某所のメモ絵(ファティマ城内)を見ていたら、
こーゆー話が脳内に降ってきました。(^^)
偽ヌイグルミだったら、当然お胸に抱っこされるわ、一緒にベッドで寝るわだろーから、
一応、性別の確認をしたくなるわねぇ〜♪
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んで、ふと思いついたので、続きを書き足してみました。(^^)v
幽閉されてるんだから24時間カメラに映されっぱなしなんだよねぇとか思ったら、
「欲しい」と思うどこか間違った人達って、
実は多いんじゃないかなと思った次第(爆)。
マルーって見た目、めっちゃ可愛いから。(^_^;)