ラジエルの樹の下で
−カレルレン− ラジエルの樹に秘められたデータ。そこを退いてもらおうか? これは、お前達には過ぎたものだからな……。
−フェイ− とにかくここを死守するんだ! ラジエルのデータを絶対に渡しちゃならない!
−シタン− お願いします! 私は取れるだけのデータをとってみます! 万が一の場合には、ここを破壊します!
−フェイ− ぐ、ぐうう……。
−グラーフ− そこまでのようだな。悔しいか? だが”それで当然”なのだ。お前は不完全なのだからな。
−フェイ− ふ、不完全だと!?
−グラーフ− そう。今のお前に欠けているもの。即ち怒りの欠陥が、本来持ちえた力を制御しているのだ!
−フェイ− い、怒り……?
−グラーフ− 怒りとは相手を滅ぼそうとする破壊と殺戮の欲動、魂の力だ! 相手を滅することによって始めて得られる欲動の昇華。
その昇華こそが秘めたる力を引き出すのだ! いくばくとも理性にすがり、怒りを、
欲動を押え込んでいるようでは真の力の解放なぞ夢のまた夢。知っておろう。お前自身の心に怒りが芽生えた時、
その機体は応えたのではないか? 機体の力を引き出したもの、それこそが魂の欲動『イド』なのだ。
お前が望み、持ちえた生来の暗殺者としての印なのだ!
−フェイ− 違うっ! 断じて違うっ! 俺は、俺は『イド』じゃない! 俺は……。
−グラーフ− 潮時だ……。お前の魂、我が食らってやろう。そしてその力を極限まで引き出してくれるわ!
−カレルレン− そこまで!
−グラーフ− む? 何故止める!
−カレルレン− そいつはエサだ。貴様がそのエサを殺してしまっては折角の小鳥が逃げてしまうのだよ。
私の”悲願の成就に欠かせない”大切な小鳥がね。解るだろう? ラカン……。
−グラーフ− ……好きにしろ。
−カレルレン− この者達をはりつけにする。場所はここより西のゴルゴダの地。
壊れたギアごと回収しておけ!
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