フェイを追うラムサス
−ラムサス− エレハイム……だと?
−カレルレン− そうだ。場所はここだ。お前には彼女を連れ帰ってきてもらいたい。私にとって大切な女性なのでな。
−ラムサス− ふざけるな。何故この俺が貴様の手足とならねばならん。その女が必要ならば貴様自ら出ればよかろう。
−カレルレン− 至極当然の答えだな。だがこれを見てもそういえるかな?
−ラムサス− こ、これは……。
−カレルレン− お前のギアとアニマの器を同調させた……。ギア・バーラーだ。そして彼女は今フェイといる。
−ラムサス− 何だと!?
−カレルレン− フェイに対する度重なる敗北……。ひとえにこれはギアの性能の差……私はそう思っているよ。
どうだ? お前ならばこの力、100%引き出せよう? もっとも、これで勝てなければお前は本当の”塵”だがな。
−ラムサス− ……。
−カレルレン− 行ってくれるな? ラムサス。
−ミァン− 行くの? カール。
−ラムサス− ああ。奴だけは俺のこの手で消し去らねばならん。
−ミァン− 気を付けて。誰が何と言おうとも、私はあなたの力を信じているわ。
−ラムサス− ”フェイ”! 忌々しい名前。俺の存在を拒む名前。俺は独力でここまで上り詰めた。
だがそれもまたあいつのせいで……。!? あの機影は……! あいつだ! 俺は塵じゃない! 塵なんかじゃ!
−フェイ− 何だ……あの機体は……?
−エリィ− !! ギア・バーラー!! しかも、このデータの示す数値は……バルトと呼応した機体やシェバトにあった機体とは明らかに違う……。
……まさか!? 完全体とでもいうの!?
−フェイ− 完全体だって……。
−エリィ− 先生が行ってたでしょ? ギア・バーラーは人の精神は似よってコントロールされてるって。その強さ……、
同調率によってポテンシャルが変動する。この数値はまるで、それが完全に同調<シンクロ>したかのよう。
−ラムサス− 遅いっ! 遅いわ!
−エリィ− 追いつかれるっ!!
−ラムサス− 性能が違うのだよっ! 探したぞ、フェイ!!
−フェイ− ラムサス!?
−ラムサス− 少尉を、エレハイムを渡してもらおう!。
−フェイ− 何を!? 何だってエリィをお前らに……。!? そうか、カレルレンの差し金か。
冗談じゃない! そんなこと聞けるものか!
−ラムサス− 実力で奪ってやってもいいのだぞ? ただし、その時は、エレハイム、二度とその腕で抱けると思うな!
−エリィ− フェイ!!
−フェイ− 大丈夫。お前は俺が護る。
−ラムサス− 良く言った。フェイ、お前からすべてを奪ってやる!! これが最後の通告だ。エレハイム少尉を渡してもらおう!
−フェイ− 断るっ!
−ラムサス− 本当に断るのだな! 後悔しても遅いのだぞ!!
−フェイ− ふざけるなっ!
−ラムサス− フフフ……よく、わかった。では遠慮無くやらせてもらう。
−ラムサス− そらそらそら! どうした、フェイ!? その貧弱さは! この『ヴェンデッタ』の前では貴様もそのヴェルトールも、
赤子に等しいぞ! 素晴らしい! この歴然たる力の差! ミァン! 観ているか!?
これならば……こいつならば奴を倒せる! くっくっくっ……ふははははは!。
−エリィ− …………聞いて、ラムサス! 私、投降します!! だから今すぐ攻撃をやめてっ!
−フェイ− 何を言ってるんだ! そんなことしたら……。
−エリィ− 彼の目的は私よ! 私のせいであなたまで危険に巻き込む訳にはいかないもの!
−エリィ− きゃあっ! 攻撃をやめてっ! ラムサス! 私が目的なら、私だけを!
−ラムサス− ふはははは! 勝てる! 勝てるぞっ! 私は塵じゃないっ!!
−フェイ− ラムサス……!? 聞えていないのか……?
−エリィ− ギアの性能に酔いしれて自分を見失っているんだわ……。フェイ、逃げて!
−ラムサス− これで終わりだ! フェイ!!
−フェイ− うわぁーーーーーっ!!
−エリィ− きゃあーーーーーっ!!
−ラムサス− ぬははは、私は塵じゃない! うひ、うひゃははは……。はぁ、はぁ…………ん? !!
少尉ごと墜としてしまったか……。ちっ、指令を忘れていた……。ふん……まあ、いい……カレルレンの指令など、
知ったことか……。
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