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エリィとの出会い


−エリィ− ここは……?

−カレルレン− 君の記録は調べさせてもらったよ。

−エリィ− カ、カレルレン……閣下?

−カレルレン− エレハイム・ヴァンホーテン。1年前のユーゲントでの事故……。 ケース102、過度に調合された昂精神薬剤の投与による内的力動の解放。 その時点でのエーテル感応値は400以上。一瞬の内に当該者2人が重傷、3人が再生処理 合っているかな?

−エリィ− 止めて下さい!

−カレルレン− だがこの記録は間違いだ。これは、よくある昂精神薬による力の暴走ではない。

−エリィ− ……?

−カレルレン− これは、”君の中に眠るもう一人の君の一時的目醒め”によってもたらされたものなのだよ。

−エリィ− もう一人の私……? フェイ達は、みんなは……?

−カレルレン− 彼等はガゼルの法院の復活の為に供される。あの人工生命体の娘も同様だ。サンプルは以前に取ったもので十二分なのでね。私の計画もすでに第4段階まできている。 後は最後のファクターがそろえばいいだけだ。故に彼等は私にとってなんら必要価値の見いせないどうでもいい存在なのだよ。……ただの塵だ。だが、君は違う。

−エリィ− あの、研究施設の人達のようにするというの! 自分の欲望の為だけに……。あなたは自分が何をしているのか理解しているの! 人が人の命を玩ぶなんて、 そんなこと絶対に許せない!

−カレルレン− そうか……下の研究施設を見てきたのだな。あそこは現在、ソラリスの研究員達が主に遺伝子工学の研究を行っている施設。有機生命体を操作し、 偶然によって得られる成果と、非人道的な行為に快楽を覚える愚か者の巣窟だ。あれは私の管轄ではない。私の専門は分子工学……ナノテクノロジーだよ。 これが何か解るかね? ナノマシン……分子機械だ。これはその中の一つ、アセンブラーといって、分子や原子を解体、再構築し、自在に物質を創ることの出来る機械なのだ。 この球体一つ一つが原子の大きさに等しい。以前はこれの数十倍のサイズのものを作るのが精一杯だったが、あの娘……遥か昔に滅んだゼボイム文明の遺産のおかげで、 ここまで小さくかつ精巧に作る事が出来た……。この機構が遥か4000年以上も昔に作られていたとは驚く他はない。それまでものもは、雑な仕事しか出来なかった……。 せいぜい損傷した人の体を外界から与えられたアミノ酸などを使って再構築したり、固有の能力を封じ込めたり……といったね。君もユーゲントで人の遺伝子構造くらいは学んでいるだろう。 遺伝しないの各種酵素……あれも言ってみれば自然の創り出した分子機械だ。もっとも、我々が自然発生の原子生命体<プロゲノート>だとすればの話だが……。

−エリィ− その分子機械を使ってあなたは何をしようというの? それと私と何の関係があるの?

−カレルレン− 従来のナノマシンでは、遺伝子の組み替えは行えても、その更に内奥、二重螺旋の空隙部分……イントロンに隠されている情報までは解らなかった。 だが新しいナノマシンはいとも容易くその空隙に隠されている情報を見つけてくれた。本来”あるべきでない”情報をね。まもなくその結果が出る。


−カレルレン− ふむ、転送されて来た記録通り、類似波形を描いている。そして…おお、ウロボロス環……! やはりそうか。そうなのだな……? ミァン、そしてラカンの動き……。これで全ての説明がつく。エレハイム……君が”母”だったのだな……。

−エリィ− 母……?

−カレルレン− そう。これは君の遺伝子のエクソン置換前の空隙……。本来は情報の存在しえないイントロン部分を解析、概念化したものだ。見たまえ、このリング状の構造体を。 これはウロボロスの環という、”ある特別な者”にしか存在しない”イントロン情報”だ。ウロボロス……大母とも準えられるこの概念のへびが、自らくわえたその尾を放し、 かま首をもたげればどうなるか……。君はその姿に興味を抱かないか?

−エリィ− ………。

−カレルレン− エレハイム、君は美しい。君を見ていると、ヒトを形作るモノの芸術性、精巧さ……。そういったモノの力を感じずにはいられない。 私の分子機械なぞおよびもつかない程のね。君は、”あの頃”と少しも変わっていない。あの”もう一人”のラカン同様に……。