―― 神の復活が近づいたことによる自然発芽か……。
―― しもべの肉体となる者……。鍵を使わずとも、これだけの数が存在していたとはな……。
―― だが、未だ発芽しない者もいる……。神の肉体に運命られし者達であろう。
―― あるいは、神に仇なす者達かもしれぬ……。要所のソイレントの再起動を行おう……。
―― いずれにせよ、中途半端な者達の異変。このままでは使いものにならぬ。
―― 神の使徒。多いにこしたことはない……。
−ミァン− あなたによって押さえられていた『鍵』が外れたようね。
−カレルレン− 別にこれで計画に狂いが生じる訳ではない。すでに処理済だよ。先のソラリス帝都爆発の際、大気中に拡散するよう、ナノマシンウィスルを仕掛けておいた。いずれ彼等が刻印を解除することは判っていたからな……。まあ、きわどいタイミングではあったが……。現在のヒトの異形化は、それの初期反応だ……。世界中に広まったウィルスは発芽した原体をその本来のものではなく、コントロールできるものへと変化させている。鍵の発動に頼らずして目醒める者達は必要なのだ。言わば神本来の肉体を乗っ取る為の存在……。
−ミァン− 神との同化の際に放たれる、トロイの木馬……。文字どおりのウィルス……。でも……、あの子達の思惑とは違うわね……?
−カレルレン− 当然だ。彼等の好きにはさせんよ。『神の方舟』は私のものだ。
−ミァン− ……私にとってはどちらでもいいことね。より確実な方へつくだけだから……。