―― カインめ……ヒュウガごときと下らぬ茶番を仕組みおって……。
―― 数値化されることによってより高度な論理的思考を得ることとなった我々とはやはり違うな……。カインはヒトの形にとらわれすぎている。
―― それにしても……。ただの一機でエテメンアンキを破壊してしまうとは……。奴の力、侮れん……。
―― もはや、我々には時間がない。鍵だ、鍵を使うのだ……。
−カレルレン− 流石に少し肝を冷やしたか?
―― カレルレンか……。カインの様子は?
−カレルレン− いつもの延命処理中だ。あと少しは……保つだろう……。
―― 間に合わぬ可能性もある訳か……。
−カレルレン− どうかな……。ところで、鍵を使うと言っていたが? 奴を消せる保証でもあるのか?
―― それは判らん。相手が相手だ……奴が"接触者"であるならば変異しない可能性もある。代を重ねた生命体。確率の問題だ。
―― だからといって、手をこまねいている訳にもいかぬ。
―― 左様。このままでは過去の失敗の繰り返し。二度目のつまづきは許されぬ。
−カレルレン− まあ、そう焦るな。奴のもとにはラムサスを向かわせた。
―― あのような出来損ないに何が出来る? エテメンアンキの防空すら満足に出来ぬ"塵"になぞ何も期待できぬのではないか?
−カレルレン− "アニマの器"、託してもか?
―― "器"だと……?
−カレルレン− 以前から回収済みであった器の一つと奴のギアを同調させた。これならば、文句あるまい。奴も真の力を発揮できるはずだ。
―― お前自ら手を下すというのか? 転生しているとはいえあれはかつての仲間であろう? 解らぬ奴よ。
−カレルレン− ヒトの情などという感情はとうの昔に捨て去った。今の私に必要なのは"彼女"だけだ。
―― それすらも、情ではないと言うか。
−カレルレン− ……当然だ。
―― 虚勢ではないと……。
−カレルレン− しつこいぞ。今、この場で消されたいか?
―― まあいい。そうしておくとしよう。