どーしよーもなく馬鹿話です
楽しい楽しいエルザでのお食事。
短調な景色の続く、宇宙での船旅の楽しみっていったら、おそらくこれしかない
(宇宙で暮らしたことないけど断言)。
……のはずなんだが。(^_^;)
ワイワイにぎやかにメシ喰ってる連中をよそに。
「……中佐……」
ふと、あの時のことを思い出し、一人涙ぐむシオン。
シオン!
「おい、シオン!!」
名を呼ばれ、シオンは我に返った。
「え? 何? Jr.くん。」
「何ボーッとしてんだよ。さっきから何度も名前を読んでるぜ。」
「うん……。」
「どうしたんだよ。えらく浮かない顔をしているな。」
Jr.はシオンの腹を探るように、そっと上目遣いで聞いた。
「ひょっとして、アンドリュー中佐のことか?」
Jr.の問いにぎくりとするシオン。
その態度に図星と見たJr.は、場を和ますようにハハハと笑った。
「だよなー、オレもショックだったぜ。
まさか、グノーシスになっちまうなんてな。」
「ねえ、Jr.くん。」
改まった調子でシオンが“再び”聞いた。
「グノーシスに触れられた人間で、塩の柱にならなかった者は、
中佐の様にグノーシス化するのよね。それって例外ってないの?」
Jr.がゆっくりと首を振った。
「俺の知る限り、例外は、無い。」
Jr.の返事は、またもや“同じ”だった。
“ベティ”……いや、かつてベティだった者が、その形のまま
静かに眠っている“透明な棺”の前での会話と同じ。
「……そう……なの……。」
グノーシスに掴まれた感覚が、シオンの記憶に蘇る。
“きっと私もいつか、中佐の様に……”
「気にすることは無いよ。シオンは大丈夫。」
まるで、シオンの頭の中を見通したかのように、ケイオスが明るい声で言った。
「ケイオス、そりゃ一体どういうことだ?」
ケイオスは、にっこりと微笑んだ。
「ケイオス〜!」Jr.が答えをせかす。
「だって、シオンはこれ以上、変化のしようがないからね。」
一同、ケイオスの返事に「えっ?」
ズルズルズデン!! と見事にひっくり返った一同。
けれど、“あのケイオスが言ったことだから”と、後に「トシオ」とか
「カシオ」とか「エリシオン」とか、とにかく「シオ」が含まれている名前を、
グノーシス避けの“おまじない”として、子供につけることが全宇宙中に流行るのである。
おしまい (^^)v
あとがき:
彼女が変化しなかったのは、巫女の力があったとか、主人公だからとか、
もっとマトモな答えは思いつかんのか、私(爆)。
やっぱり、名前が「塩」なんだもん。