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スター・ミクタム

ジンに涙する乙女達に捧ぐ



静かだ――

我が人生――
思えばこれほど静かな時はなかったな――

私はこれを求めていたのに――

いざその時を迎えてみると

かつての喧騒が――

あの 目まぐるしく変化する日々が

むしろ懐かしい――





だが――

こうしているのもまた――
心地いい――





一足先に行ってますよ――

シオン――







“ケイオス!”

「ああ、いつでも。ネピリム。……さあ、ジンさん!」

振り向くケイオスの瞳に、すでに黄泉(よみ)に旅立った、ジンの空蝉(むくろ)。



ジンさん――

ありがとう







“わが揺りかごに集いし意識達よ”

“全ての始まりの場所 原初なる地へ”

“いざ”





















どうやら

僕も君も

まだこの世界に存在しているようだね

人が 宇宙が望む限り

僕らは存在する

まだ僕らの成すべき事は
終わってはいないんだ――

だから――

それまでの間――

ゆっくりとおやすみ

――KOS−MOS




おやすみなさい――














……ここは?……

……ここは……彼岸……なのか?……

……それとも……ロストエルサレム……なのか?……

……私の身体は?……

……私の身体は……どうなってる?……

……ここは……どこだ?……

……宇宙(コスモ)?……

……混沌(カオス)?……

……ホシ……

……星々……

……消えていく……

……星が消えていく……

……漆黒に塗りつぶされていく……

……これが?……

……宇宙の散逸なのか?……

……人々の意思が求めることなのか?……





―― 他を拒むヒトの意思 ――

―― 個を望むヒトの意思 ――

―― 純を求め ――

―― 混を嫌う ――

―― “土(カオス)より創られ” ――

―― “土(カオス)に還る” その運命(さだめ)を認めない ――

―― ヒトの ――

―― 意思 ――





……何故?……

……何故 “今の私”に見える?……





―― ここは 時空と事象の不連続世界 ――

―― ここは 時空と事象の重なり合う 交差点 ――

―― あくまでも重なり合う過去と未来の事象の一つを見ているに過ぎない ――





……ケイオス……くん?……

……何故……君がここに?……



―― 僕は“僕”であり 同時に “ここ”そのものなんだ ――

―― 僕は“ここ”ならば どこにでも存在している ――

―― あれが “僕”だ ――



……ロストエルサレム?……

……人々の集まり……説法……“教”と“義”の裏切り……

……摩り替えられていく……言葉……



―― そう 故に現在 −貴方の現在(いま)− に至った ――

―― 貴方は ここにいてはいけない ――



……だが……すでに……私は……



―― 大丈夫 ――

―― 僕の“精神(なか)”に入るといい ――



……ケイオス君の中に?……



―― 大丈夫 ――

―― 僕の身体の一部を ほんの少しだけ変えるだけだから ――

―― 貴方は 僕に宿り 健(すこ)やかな眠りの中へ ――

―― シオンがたどり着く頃 貴方は“最初からやりなおす”ことになるから ――

―― 臨月(とき)が満ちる その瞬間まで ――





















.......ン...ャァ.......

あとがき:
ああ、また当て字だらけ(笑)。本当の「空蝉」は「うつせみ」と読みます。 本来の意味は、「抜け殻」というよりも、「現世、世の人」の意味合いが強い言葉です。当て字どころか、 “当て意味”も入ってるかも知れない…もうメチャクチャ(爆)。
(ジン)うづき =>> 空木(うつぎ) =>> 空蝉(うつせみ) の三段活用から、無理矢理持ってきた言葉なのです(笑)。
んで、「うつぎ」なんですが、ユキノシタ科の落葉低木だそうで。Hepatica(マリアの意識が目覚めた時の唱)がユキワリソウなので、 ユキつながりでちょっと面白いなあ……とか思ってます。(^^)

で、やっちゃいました、「ヲトメの夢」(笑)。ケイオス君、ジンさんをお腹に宿しちゃいました。 当然、処女○娠(爆)。なので、よりすっごい“人(ジン)”が生まれちゃいそうですねー。(^_^;)
このアイデアの元ネタの雰囲気を出そうと狙ってみたけれど、やっぱり玉砕しました。 総師の髪と瞳の色を見たとき、思わずこの元ネタ作品が頭をよぎった人ですから、私。

宇宙と混沌の読みですけど、“コスモス”と“ケイオス”じゃそのまんますぎるし、 キャラのイメージをまんま引きずりそうだったので、巷(ちまた)で通ってる“コスモ”と“カオス”にしてます(笑)。 で「土」ですけど、ア○ムは神さまが大地から作り出した…という話からネ。 神話の始まりは、カオス−混沌−ということが多いんで、土と混沌を無理矢理くっ付けちゃいました(笑)。
土と混沌、さらに無意識世界(虚数世界)もくっ付けちゃってるんで、もうワケが分からなくなってます。深く意味取らないで下さいネ(^_^;)。

虚数っつーもんは、私にはどーも納得の出来ない世界なもので。大体、「ルート−1」なんつーヒネクレた もんを考え出したのは、どこのどいつだ!! 二乗して「−1」になるなんて変な数字、 おかげで実数との比較が出来ないじゃないかぁっっっ!!! (ゼェゼェ) オイラーの公式を理解しないで、先に行ったもんで、 複素数表示がある電気工学で完全にけつまずいて……今です。だから、 虚数(複素数)世界に「i」はあるけど、「愛」なんてないじゃないかぁーとワケ分かんないこと 言わせてください(爆)。
ゼノサーガの虚数世界には、じつは根底に「愛」があったりするのかも知れないけれど。(^_^;)