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上司の横暴(笑)



企画書と稟議書―――――

―――――それは、勤めている企業から、予算という大義名分の下に “膨大なお金と人”をふんだくる(笑)時の必需品である。




――――― ヴェクター CEO 執務室 ―――――


コンコン!

「待っていたよ。」

「失礼します。」


――――― 対グノーシス掃討戦略兵器 通称“KOS-MOS”設計開発 プロジェクト概要説明 ―――――

「前もって、大体のところは目を通しておいたよ。これは、僕たちにとっての “最優先事項”だからね。」
クックック、とヴィルヘルムは笑った。そして、

「建て前上は、ヴェクターの社運をかけた、次の時代へ向けての一大プロジェクト。 相手は、いくら形骸化している取締役会といっても、一応はヴェクターの取締役会だよ。 役員達を納得させるだけの、しっかりした論拠がないとね。ケビン君。」と続けた。

「はい。」
めったに人の名前を呼ばないヴィルヘルムがこう呼んだときは、必ず何かある。 そう身構えるケビンだった。

プレゼンテーションの後、とても専門外とは思えない鋭い質問が投げかけられる。 ケビンは必死で応答した。

「これならば、彼らも当日は納得するだろうね。経営戦略的な数字は、 僕のほうで準備をしておくよ。」
ふうっ
ケビンは一気に肩の力が抜けた気がした。

「……ところで、ケビン君。」
「はぃい?」いきなり虚を衝かれ、思わず声がひっくりかえったケビン。
「せっかくだから、KOS-MOSの起動パスワード……システム“NATARAJA”の パスワードは、僕が決めてもいいかい?」

ケビンに“NO!”と言える権利がある……わけがない。その言葉こそ、 ケビンの意思を尊重するような質問形だが、 実質は文字通り“神にも等しい存在”からの、絶対至上命令なのだから。 逆らえるはずがない。
“僕の楽しみを……横暴だ!!”と、心の中でコッソリつぶやいてみたケビンだった。

「“You shall be as God.”」
言いながら、ヴィルヘルムはサラサラと企画書(この時代なのに何故か紙に書かれている)の裏に、 パスワードをしたためた。

……イェオーシュア。マリアが復活すれば、必ずや君は僕の前に現れる。 そのはずだよね……




パタン!
ケビンは、自部署に戻り、しみじみとヴィルヘルムの書いた文字を見た。

“You shall be as God.”

……? これでは、複数とも受け取れるじゃないか。 KOS-MOSは、僕が創造し、甦らせる“ただ一人のマリア”だ。 きっと、あの方は何か間違えたのだろう。
迷うことなく、ヴィルヘルムの走り書きに、“a”と書き加えたケビンであった。


“You shall be as a God.”






全ては神のみぞ知る……(笑)。

あとがき:
EP1オープニングムービーの入力パスワードネタです。 システムNATARAJAが起動するアレです。アレ。(*^^)v
ゼノギアスから入った一部のファンは、きっと「何か意味があるはずだ」と 目を皿のようにして見ていたはずですネ(笑)。

えーごが悲劇的にダメダメな私には、この言葉の意味は正直さっぱり分かりません(爆)。
なので、 「a」を入れないヴィルヘルムのこだわりと、「a」を入れたいケビンのこだわりとしてみました。 ……かなり間違ってますけど。(^^ゞ
「a」がない= You はマリアとケイオスを示す。(ケイオスにこだわるヴィルヘルム;笑)
「a」がある= You はマリアのみを示す。(ケイオスの存在を全く知らないケビン;笑)

ところで上司って生き物は、どうして部下のひそやかな楽しみを、気づかずに奪うんでしょうね(笑)。
ということで、ひそやかな楽しみを上司ヴィルヘルムに奪われつつも、 ちょっぴりとだけ抵抗してみた部下ケビンの話を書いて見ました、とさ。(^o^;)

実際、EP3でも最後には逆らうんですが……(爆)。しかも道連れだし。(^^;)