掲示板の再録です
ダンジョン
……どこから敵が出現するか分からない。そんな緊張が続く。
当然、気持ちも荒んでくる。
ふと、前を歩くJr.が口を開いた。
「なあ、シオン。シオンの名前って誰が付けたんだ?」
「両親だと思うけど。」
「両親か……いいな。俺達には番号しかなかったからな。
俺たちの特異な姿から、呼び名くらいはあったけど
……それで名前の由来とかあるのか?」
Jr.の背中が寂しげに語る。“親”を持たぬ者――
兵器でありながら人の心を持つ者ならではの悲しさ。
いっそ、心まで兵器であったのならば……。
「分からない。聞いたことがないから。」シオンは黙りこくった。
……もう聞くことは出来ない。悲しみの感情が彼女を覆う。
―― 沈黙 ――
「シオンの名前なら、春の季節から取ったと聞いていますよ。」
独特の“間”で、ジンが言った。
「春?」シオンが顔を上げて聞き返す。
「三寒四温(さんかんしおん)。春は、寒さ暑さを繰り返しながら、少しずつ暖かくなるんですよ。
苦難と喜びを繰り返しながら、少しずつ大きな器の人になって欲しい……そんな願いが込められてるんですよ。」
ジンの温かい言葉に、救われたような気がするシオン。
それを聞いたJr.が悪戯っぽい顔をし、クルリと振り向いた。
「苗字も四月(卯月)だし、だから、
あったかい性格(=おめでたい性格の事)をしているのかっ。」
「なるほど。」
Jr.の発言に、思わず深くうなづいてしまったパーティー。
「なんでそうなるのよ〜。」
パーティーを包む空気が、明るくなった瞬間である。
あとがき:
うそです、うそです(笑)。(^^ゞ
シオンの名前は「シオン主義」(意味分かってないけど;苦笑)から取ってきているんだと思います。
これを思いついた日って、4月なのに気温7度で、ものすごく寒かったんですよね。
「……ぶるぶる、三寒四温と言うのにいくらなんでも寒すぎるよぉ……。」と
背中を丸めて歩いている時に、唐突に思いついたんです。
本来の三寒四温は「三日寒い日があって四日温かいという現象」の事をさすんですが、
未来の世界では意味が変わっているとしておいてください(爆)。
だって、「あの世界」に日本と同じような四季があるとも思えないし(再爆)。
あくまでこの話は本来の意味を逸脱したシャレ(それも駄洒落)なので、別な場所でそのまんま話をしないように
気をつけてくださいね(笑)。