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深淵(しんえん)

 

僕をおいていかないでよぉっ……


……ルベド……


……ルベド……


“……ア……ルベド……”

“「アルベド」”

“デザイナーズ・チャイルド”

“U.R.T.V.No667……”

“再生”

“永遠の刻”

“孤独とそれを恐るる心”




“ルベド……ルベド……ルベド?”


“そうか。「ルベド」か。U.R.T.V.No666……”

“ルベドとはお前の何なのだ?”

“お前の……”




“引き裂かれた心臓”

“もぎ取られた翼”

“血を流す心”




“そうか、お前にとっての「ルベド」はそういうものか”

“なるほど”

“ルベド……先ほど接触した個体”




“燃え滾(たぎ)る炎”

“生命(いのち)の灯火(ともしび)”

“全てを焼き尽くす地獄の業火(ごうか)”




“バケモノ”




……ちがう!……

……ルベドはバケモノじゃない!……


“『弟のクセに』”

“『何故、あいつらだけが特別なんだ?』”

“『バケモノだからさ』”

“『あの髪の色を見ただろう』”

“『バケモノ』”

“『あいつらは、みんなバケモノなんだよ』”

“『U.R.T.V.はNo669で製造終了だって話聞いたか?』”

“『なんでだ?』”

“『変異体が出来ちまったからさ』”


……ちがう!……

……僕達はバケモノじゃない!……


“では、ルベドはお前のことをどう思っている?”


……観(み)るな!……

……ルベドを観(み)るなっ!……

……“僕の”ルベドに触れるなぁっっ!……





……ヒッヒッヒッ……

……ひゃっはっはっ!……




鏡よ、僕を写せ―― 僕を定義しろ――




僕は無限のテロメラーゼだ――

完全なる連鎖だ――

ヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ!

ひゃぁっはっはっはっはっはっはっ!

あとがき:
短いけどアルベドの汚染話です。汚染されしまった最後の一押しが、実は「ルベド」だったと。 そーゆーことにしちゃいました。(^^ゞ
ハッと気が付けば、フツーの「白赤」話。 実際の設定もそんな感じだし。まあ、いいか(笑)。
背部での癒着双生児と聞いて、ルベドを「翼」と置き換えるのは、少し無理があったでしょうか。 「〜流す心」は実はアルベドよりルベドの方が、よっぽど傷つきやすいということ(笑)。
タイトルの「深淵」は、『怪物と闘う者は、その過程で自分自身も怪物になることがないよう、 気をつけねばならない。深淵をのぞきこむとき、その深淵もこちらを見つめているのだ。』 (引用:ツァラトゥストラはかく語りき)の一文から頂きました。アルベドにピッタリでしょう。 深淵見ちゃって怪物になっちゃったんだから(笑)。 ただ、ニーチェを読んだんじゃなくて、「FBI心理分析官」の序文に載っていたのを 拝借しているところが、威張れないトコです(苦笑)。

「赤」と聞いて、思いついたのが血と炎というところが貧困ですよね、私ったら(苦笑)。 活発、意欲、情熱、元気、生命、若さ、女性とかイッパイあるのに……。
ただ、赤というのは色の中でも一番「脆い」色だったりします。つまり退色しやすい。 というのも、赤という色は長波長を透過または反射し、短波長を吸収する色。 光は波長が短いほどエネルギーが強くなります。 つまり、エネルギーの強い光を吸収する性質のため、分子結合が破壊されやすいんですよ。 もちろん、顔料や染料などを作る会社は、退色しにくい色を作るために、 日々研究をされていらっしゃる訳ですが(笑)。

「白」は純白、聖なる色、純粋無垢、加法混色法で言う「全ての色の集合体」。 全ての色の光を重ねると白になります。これは目の構造によるものです。 昔々まだ真面目に仕事をしていた頃、新人研修を課長に押し付けられ(他に人がいなかった)て、 集光ランプ3つとRGBのカラーフィルターを急遽かき集め、 半分寝ていた新人連中の目の前で、「能書き」と共に、RED、GREEN、BLUEの 3つの光を重ねてやったら、 「おーっ」と大真面目に感動してたのが「お茶目な思い出」ですね。 新人君達ったらほんとに可愛いんだから(笑)。

白は行き過ぎると、潔癖、神経質、(減法混色法で)すべての色の下敷き、 どんな色にも染まってしまう色となります。あ、だから「汚染」か。(^^ゞ
あと、白い顔料と言えば「酸化チタン」がありますが、実はこれ自体に色はありません。 どうして白いのかというと、「屈折率が高い」ため、細かい粒状にして透明な流体と 混ぜると流体内で光が乱反射して白く見えるんです(違っていたらごめんなさい)。 そう「屈折しまくっているヤツ」(笑)。アルベドらしい(大笑)。

もう一つ能書き垂れをすると、CRTや液晶などモニターの世界では、 画面の明るさを決めるのは光源なんですが、材料の色(R/G/B)の中では 決め手は「G(緑)」なんですよ(笑)。Gの明るさ(明度Y値)が、 白表示時の明るさを決定します。だから、緑らしくて、かつ、より明るいGの色を アチコチの会社が日々研究されています。あんまり明度を追求すると Gが白っぽくなりすぎるんで、コレがなかなか難しい……。 また、全体のバランス(白)も崩れますしね。ンなワケでGのY値とWのY値は ほぼ同じとなります。それ知った時に「緑好き」が決定しましたね。 「白」の明るさを決めるのは「緑」。あなどれないんだな〜緑色って(笑)。
で、色の話を始めると止まらないクセに、このHPでは色に凝ってないです。 その理由は、なまじっか「作る側」の仕事をしていたためです。 自分とこの製品の色(透過率)の測定の他、他社の製品の調査も したわけですよ。で、その時の感想「こんなもんか」(苦笑)。 色の再現に限界を見てしまったわけなんです。例え、「256×256×256色の 色が再現できますよ〜」とどんなに言っても、「上限」が決まっていちゃあねぇ(笑)。 そんな理由で色に凝っていません。(^^ゞ